世界一幸せな国Ⅰ
話が逸れてしまった。
ア「おはよう、ユアン。そうだな……お前はまだ小さいから、起きるのがこの時間なのは構わないのだが、出来るならローナ以外が起こしても起きてくれ……!」
お父様が言った。
私もお父様の意見に賛成だ。
本来私やユアンを起こすのは子守であるアリスたちの仕事で、現に私もアリスに起こしてもらっている。
しかし、ユアンが私以外が起こしても起きないせいで、子守たちが困っているのだ。
それどころか、彼女らは、自らは役にも立たない無能な人間なのにお金だけ貰うのはおこがましいから辞めさせてくれとまで言ってきている。
当然そんなことをされて困るのはこちらなのだが。
バ「おはよう。……そうねえ、絶対にローナがいるとは限らないし」
ア「毎日ローナに行ってもらうのも可哀想だ」
ユ「ぼくりゃってりょーナにおこしてもらうのしんどい……」
両親の会話に混ざってボソッと言ったユアンの一言を、私は聞き逃さなかった。
「ん?ユアンどうしたの??」
ユ「……い、いや、なにもないよ」
「ふうーん」
この後に、ユアンの叫び声があがることを知っているのはローナだけだった。