信心理論
4.

―5/11 Sat Am4:23―



僕はまた、大きな衝撃と共に目覚めていた。


「ったく…なんだよ…。」

目覚まし時計を確認すると、僕は無意識に低く呟いていた。

頭が、割れるように痛い。

けれどそれは、目覚めの瞬間だけであり、目覚めればすぐに頭の痛みは消え、何もかもが普段と同じようになる。


しかし、気分は悪いままだ。


午前4時。

そんな不吉な時間に、2日連続で目覚めるとは…。
オカルトな思想が僕を支配する。


「アイツのせいだ…。」


アイツ。

今日学校で出会った、“アイツ”。

自分で自分のことを幽霊だと名乗り、僕は変われる、だとかわけのわからないことを言っていた。


馬鹿馬鹿しい。


僕はその一言で彼女の話を終わらせた。

関わりたくない。そう思ったからだ。


仮にアイツが幽霊でも、僕には何の関係もない。


まさか、そんなことあるわけもない。
幽霊が自分に話しかけてくるだなんて。


僕は一切の思考をそこで停止させると、台所へ向かい、水を汲んだ。


僕の中に入り込んだ水は、僕の喉の渇きと、僕の心を潤した。



今日は土曜。
このまま起きていても支障はないだろう。


僕は部屋に戻って、音楽をかけた。


いつもの歌が、流れはじめる。
僕はいつもより少しだけ音量を下げると、そのままベッドへうつ伏せになった。


「くだらない世の中だ。」


聞こえてくる歌詞の一部を復唱する。


「愛した日々さえ幻になるなんて。」


歌詞の続きが復唱される。

女性の声で。

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