信心理論
1.
僕の毎日は、何も変わらず、これからも変わることなく、廻り続ける。
けれどきっと、それは思い過ごしで、実は毎日少しずつ何かが違っていて、僕がそれに気付いていないだけなのだろう。
それでも僕は、気付かないフリをしてきた。
そして、これからもずっと、そうし続けるだろう。
何故か?
それは、
簡単なこと。
自分以外の人間に関わるのは、面倒くさいことだから。
誰かに関わって、何かを学んで、
それを使って自分が生きて。
とても大切なことじゃないか、ってみんなは言う。
けれど、僕は言う。
他人に関わると、リスクはそれ以上に多いじゃないか!と。
誰かに関わると共にその誰かを信じて、裏切られて、
使われて、
傷ついて、
落ち込んで、
いつしか自分が
使い物にならなくなって。
けれどみんなは、それを乗り越えて強くなるんだ、って言い返す。
でも、そんなことを避けることが出来るなら……逃げることが出来るなら、
初めからそんなことやめればイイ。
だから僕は、自分以外の人間には関わらない。
関わりたくない。
……シン?
ああ、シンね。
僕の弟。僕が唯一関わる人間。
あいつは今までに、友達に裏切られて、終いには母親にも裏切られて。
それでも他人に立ち向かっていく、馬鹿なヤツ。
でも、だからこそ、シンは絶対に誰も、裏切らない。