誰かが言いました。
「お邪魔しまーす……」


週末、私は初めて男の子の部屋に入った。


加賀くんの車に乗ったのも初めてで、助手席に座った私は内心かなり緊張していた。


加賀くんは何回か女の子と付き合ったことがあると風の噂で聞いたことがあるけど(本人にはとても聞けない)、私は全くの奥手だ。今まで男の子を好きになったことすらろくになかった。


だから、なんで私がサークルで、いや私が出会った男の子の中で一番のイケメンと言える加賀くんが今こうして隣にいるかがわからない。


私達は普段あまり話さない。茜に言わせればお互い超がつくマイペースだから、会話がないことは別に困らないけど、加賀くんが隣にいることが一番の問題だ。


この、今まで感じたことのない種類のドキドキは一体何なんだ。私はおかしいの? おかしくなっちゃったの?


遠くから見ていればそれでよかった。加賀くんが笑う姿を遠くで見れいられればそれで満足だったのに。


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