誰かが言いました。
ち、近い…………。


間近で加賀くんの視線を感じると、彼との距離が余計近く感じた。


目を開いた彼は寝ぼけ眼でじっと私を見ていて。


寝転んでいる分加賀くんが幼く見えた。


寝起きでもイケメンだなあ。


私も思わずじいっと加賀くんの顔を見つめてしまった。


「……俺の顔に何かついてる?」


しばらくして加賀くんがふっと笑った。


「え、い、いや、そういうわけではなくて」

「ふうん」


加賀くんは反対側に寝転んで私に背を向けてしまった。


あ、残念。もうちょっと見たかったのに。


代わりに丸まっている傍の猫をつついてみる。当然反応なし。熟睡してしまったらしい。


「結婚したいなあ……加賀くんと」

「えっ」


加賀くんが再びこちらを振り向く。


「それ……もしかしてプロポーズ?」


思わず口からぽろっとこぼれてしまったらしい。


「あ、あ、思ったことがつい……」


独り言のつもりだったのに、加賀くんには聞こえてしまった。


ああ……やってしまった。


顔が火照る。


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