誰かが言いました。

なのに、今のこの状況は一体何？


「あ、の、加賀さん……顔を上げてください」


目の前で、私に向かって頭を下げているのは、紛れも無い私が大好きなイケメンくん。


こうして話し掛けられるだけでも私には奇跡で、それ以上は何もいらないのに。


ああ、近いから無駄に緊張しちゃってるし。


静まれ、私の心臓。


そして、妄想をやめろ、私。


話し掛けられる寸前まで頭に思い浮かべていた「加賀くんが雨の日にずぶ濡れの私に傘に入れてくれる」妄想が今になって蘇ってきて更に恥ずかしい。


「俺と、付き合ってください」


私がいろいろな考えを短時間で巡らせることになった加賀くんの言葉が、再び彼から発せられた。


「え、え……？」


私にはわけがわからない。


目の前のイケメンくんは、この私に何を言っているのでしょう。