君のいない街で
名古屋へ
名古屋の橋と言ってもたくさんあるだろう。

飯間の友人に詳しくきかなければならない。
しかし、飯間はもう行きたくないようだった。

黒いスーツの男たちに怯えているのだろう。
内心、僕だって怖い。

だけど、田中をほって置くことはできないから名古屋へ行こう。

飯間は置いて行く。
僕は怖さを知っているから、無理強いはできない。

次の日、名古屋に着くと田中の捜索を始めた。

わかっていることは名古屋市内だということだけ。

夜になり、すぐに朝になった。

やみくもに探したってみつかるわけがないのはわかっていた。

そのとき、青いシートでつくられたテントをみつけた。

今日はここで最後にしよう。

覗き込むとそこには写真がたてられていた。

綺麗な女性と女の子の写った写真だった。

もしかしたらこれは田中の奥さんと子供かもしれない。

直感的にそう思った。

ここで待ってみよう。
田中が帰ってくるかも知れない。

あの写真からは、幸せが見て取れた。

きっと何もなければ、一生を共にして、あの頃は楽しかったねって笑いあえる老後が待っていたのだろう。

借金は全てを狂わせる。
お金で全てが変わってしまう人生。
もううんざりだ。皆が幸せになれればいいのに。
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