君のいない街で
窓辺
家に戻ると再び窓の外をみた。やはりいつもと変わらない風景。

彼女に相手にされないのはわかってたはず。

なのに何を悲しんでるんだ。

まずは変わらなきゃいけない。

自信を無くして悲しむほどのプライドなんてとっに無くしているじゃないか。

僕は変わるんだ。

まずはヒゲと眉を剃ろう。

そしたら髪を切りに行こう。

洋服も買わなきゃ。

全てを実行するには1週間ほどかかったが、今なら人並みだと言えるはずだ。

慣れないことをしたから、少し疲れた。

明日からは仕事を探そう。

そう思っているうちに僕は寝ていた。

カン……カン…………カン

何の音だろう。

眠りを妨げられたことに、憤りを感じながら音のする方をみた。

窓に石が投げ付けられている。

こんな事をされる筋合いはない。

誰だ?

窓を勢いよく開けると犯人を見つけた。

…彼女だった。

一瞬誰だかわからないほど、優しい顔で僕を見ていた。

なんで?

疑問しか頭に浮かばない。

手招きをしているように見えるけど、勘違いか?
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