君のいない街で
飯間
一週間以上もたった頃、必死に働く田中を応援しながら、僕もまたバイトを始めた。帰るのはだいたい夜9時頃。
本当なら電気がついている時間にも飯間は電気をつけていない。

ずっと部屋から出ていないようだ。

食事はちゃんと摂っているのだろうか。

出前がきたこともない。
さすがに不安になってきた。無理矢理でも部屋に入ろう。

「飯間!居るのか?居るなら鍵を開けてくれ。」
やはり無反応。
しかたない。強引に入らせて貰おう。

このアパートは、扉を無理矢理こじ開けることが容易だ。

部屋は真っ暗。
パソコンもついていない。

「飯間?いるんだろ?」
奥の部屋から水の音が聞こえる。
風呂か?

ガチャッと扉を開けると浴槽に腕をつけている飯間を見つけた。

水は真っ赤に染まっている。
まさか…

「飯間!!?」
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