君のいない街で
手招き
勘違いだと思い、無視していると彼女が不機嫌そうな顔をした。

なんてかわいらしい顔なんだ。

慌てて着替え外に出ると、彼女はいなかった。

なんだ。からかわれただけか。

落ち込んで部屋に戻ろうとすると、ヒヤリと冷たい感覚が頬に伝わった。

「はい!」
ジュースを差し出したのは彼女だった。

「あ…ありがとう。」

「いえいえ。」

「何か用でした?」
きくしかなかった。他に話す話題もないんだから。

「御礼にきました。この間はありがとうございました。」


「どういたしまして。」御礼を言いたいのは僕のほうだ。僕が変わるきっかけをくれた彼女にありがとうと言いたい。

「それじゃ。」


「え……!?」
あまりにも早くないか。まだ1分そこそこなのに。

「え?そのジュース嫌いでした?」

「いや、そうじゃなくて。早いなと。」

「じゃぁ…公園でもいきますか?」
願ってもないことだ。 これは初デート?

「ぁ…はい。」

ニコッと笑い歩き始めた彼女を追い掛けるように僕も歩き始めた。
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