君のいない街で
夢のような日々だ。

ついこの間まで、引きこもっていた僕が、こんなにかわいらしい人と一緒にいる。

このとき確かに、胸が熱くなることを感じていた。

これが恋というものなんだろうか。

いつのまにか、目的地についていた。


平日の公園に人は少ない。

緑の多いこの場所は、何だか癒される。

換気すらしていない僕の部屋とは、くらべものにならないほど清々しい空気。

そして横には女性。

今までの僕にはありえなかった状況が、夢を見ているのではないかと錯覚させる。

幸せだ。

別に彼女は恋人ではないし、親しい間柄でもない。

でももしかしたらこれから。

妄想が頭を支配する。

妄想の終点は結婚。

単純すぎる脳が、かわいく思える。

はっきりとわかる。

僕は浮かれている。

天狗になっている。

彼女と会話すらしないくらい。

つまらないだろう。 だけど何も言わず、僕を見ていた。

だけど突然。

「何考えてるの?なんかデレデレな顔してるよ?まさか私に惚れちゃった?」

そんな無邪気な笑顔で僕を見ないで。

胸が苦しいよ。はちきれてしまいそう。

「え?あ!ごめん。」
惚れたなんてさすがに言えない。初対面みたいなものなんだから。

でも間違っても否定は出来ない。

彼女は、変なのと言うとジュースを飲み干した。
「ねぇ、缶ケリでもしよっか」

ジュースの缶の上に足をおき、挑戦的なポーズ。
それにしても、何故缶ケリ?
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