君のいない街で
そして缶ケリ
カーン カラカラカラカラ

勢いよく蹴飛ばされた缶は、緑の茂みへと入っていった。

また僕が探すのか。

かれこれ10回以上やっている。

思うが、一対一って明らかに鬼が不利じゃないか。

だけど彼女の笑顔が見れるとついやってしまう。

「つかれたぁ!でも楽しかったね!」

「う…うん。」
へとへとだ。やっと終わった。

運動不足にはつらい遊びだった。

僕はジュースを買い、彼女に渡した。

ありがとうとジュースを一気飲み。

プハー。

オッサンみたいで笑えたが、素を見れたようでうれしい。

「じゃぁそろそろ帰らなきゃ。また遊ぼうね。」

「え…あぁ。今日はありがとう。また。」

“また遊ぼうね”
何度も頭の中で繰り返されるフレーズ。

またってことはまた会える!?

連絡先は知らないけど、きっと僕の家に来てくれる。

だから“また遊ぼう”って言ってくれたんだよね。

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