君のいない街で
恐怖
条件…。
嫌な予感が頭をよぎる。

「1週間以内だ。出来なければ…わかるな?」
男の鋭い刃物のような目が有無を言わさぬ力をもっていた。

「…わかりました。
彼女は解放してください。」

「それは出来ないな。逃げられたら困る。人質だ。
ちなみにその全財産は置いていってもらう。どうやって、あと1週間で金を用意するか見物だな。」
男の甲高い笑い声が、僕の不安を大きくさせる。

「待ってください。彼女は関係ないでしょ!?」
「うるさい!
これっぽっちの金を用意できないおまえがわるいんだ。ボンボンのくせに。」

なんで僕が金持ちだと?
…まさか両親を殺した犯人…?

「ぼけっとさっさと帰って金でも捜せ。大切な彼女が死ぬぞ?」

「…その前に彼女にあわせてください。必ず助けにくると伝えたい。」

男たちはクスクスと笑っている。
「いいだろう。俺だって鬼じゃない。呼んでやる。」

「おい。勇者さまがお見えだぞ。」
バカにしたように笑いながら彼女を呼んだ。

服も乱れ、手や足に鞭打ちのあと。涙を流しすぎたのか、腫れ上がった目元。

胸が苦しい。悔しい。怒りよりも情けなさが僕を奮い立たせた。

「絶対助けるから。」

そう絶対…

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