君のいない街で
痛みなんてとっくに感じない。

蹴りたければ蹴ればいい。
殴りたければ殴ればいい。

それで彼女が助かるなら……

「キャー!!」

彼女の声がする。
うっすらと目を開けると、彼女が捕まっていた。
逃げたはずなのに…

まだいたのか…
くそっ!

彼女が逃げてなければ、こいつらにボコボコにされても意味がない。

クソッタレ!!

そう思うと力が入った。
「あ゙―!」

無理矢理起き上がろうとしても、足で押さえ付けられなかなかうまくいかない。

やめろ。彼女を離せ!

必死だった。

一人の足を掴み、引きずり込んで倒した。

その上に乗り、顔面を殴り続けた。残っている男たちに蹴られ続けていても関係ない。

もう痛みなんて感覚はないんだから。

気絶したのを確認すると、男たちを睨んだ。

血まみれの僕が睨んだことに、男たちは怯んでいる。

それなのに、足が思うように動かない。


それでも助けなければ。

彼女を捕まえている男に向かい一直線に走った。

「あ゛―!!」

パンッ!

乾いた音が響く。足に激痛がはしる。

勢いよく倒れ込む僕は、彼女の目の前で突っ伏した。

あと少し

あと―…
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