君のいない街で
一筋の光
何日も、いや、何年もこの景色を見ている。

繰り返しの景色。

しかめつらのサラリーマンを見ていると、気分が滅入る。

たまには、笑ったらどうだと言いたくなるほど険しい顔。

多分それを見ている僕も、そんな顔をしているんだ。

笑いたい。

こんなに詰まらない日々は嫌だ。

その時。

ふと白いワンピースが見えた。

この通りにそんな華やかな人はいないはず。

そう思っていた。

だけど、彼女はいた。

長いさらさらな髪を振り撒いて。

紅一点。

まさにその言葉通りの姿だった。
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