君のいない街で
絶望の淵で
彼女に何をした…。
男は薄ら笑いをしながら、もう一発僕の足を撃った。
「ぁがっ…」
くそッ…
俺は殺される。きっと彼女も…

このままではだめだ…

「もう一度チャンスをやろう。残りの金を早く用意するんだ。明日までに。これが最後のチャンスだ。せいぜい頑張って集めるんだな。」

僕を縛っていた縄を解くと、そう言い去って言った。

明日中に…

無理だ…

今日持ってきた通帳の中には9000万ほど入っていたが、それでも1000万円足りない。

たった一日で用意できるわけがない。

でも諦めるわけにはいかない。

彼女の命がかかっている。

どうすれば…

銀行強盗…

頭によぎるのは、犯罪…
手段を選ぶ余裕なんてないんだ。

しかたない。

血まみれで泥だらけの服で入ればまず警戒される。

まずは服を変えなければ。
1000万円…
僕が引きこもらずに働いていれば残っていたかもしれない。

今となってはもう遅い。
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