先生

「ねぇ芽唯。航平先輩となんかあった?」

さっきまでずっとニヤニヤしてた咲が、急に真剣になって、私に聞いてきた。

「え、なんで?何もないよ?」

「そう?なら、いいんだけど。さっき悠人と話してたんだけどね、最近の芽唯と航平先輩って、今までとなんか違うよねって。」

「なんか違う?」

「うん。何って言われたらわかんないんだけど、何かが違って見えたんだ。」

わかる人にはわかる。

やっぱり、もう、限界なのかもしれない。

私が自分に嘘をつける限界が、来たのかもしれない。

咲、あと少しだけ、ううん。

あと一日だけ待って。

今日ちゃんと自分の気持ちに向き合ってみようと思う。

明日までにはちゃんと答え出すから。

ちゃんと話すから。

だから、今日だけは、嘘つくの許してね。

「ほんとに何もないよ。」

「ほんと?なら、よかった。」

そう言って咲は納得してくれた。

咲、ごめんね。


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