先生
李空先輩はゆっくりと、話していった。
「俺たちの親、離婚したんだ。芽唯がまだ四歳の頃だった。
親同士すげぇ仲悪くてさ、毎日のようにケンカしてたんだよ。芽唯も毎日のように泣いてた。
だからお互い限界感じたらしく俺たちの気持ちなんて聞こうともせずに離婚したんだ。
でも、どっちに付いていくかっていうしたくもない選択だけさせられたんだ。俺たち三人は離れたくなかったから母親について行くことにしたんだ。親父は暴力を振るうかもしれなかったし、芽唯は父親に怯えていたし、怖かったから母親にしたんだ。
だけど、結唯は、最後の最後で親父を選んだ。
俺たち三人とも母親を選んだ時の悲しそうな親父の顔をあいつはちゃんと見てたんだ。
でも、芽唯を一人にさせるわけにもいかなくて、結局あいつ一人で行かせたんだ。
そっからは一回も会ってないんだ。
親同士があんなんだったからさ、もう一生会いたくないって感じで、どこに行くかも言わなかったし母親も聞かなかったし。
本当に、縁が切れたんだ。
結唯に家族がいなかったって、親父も死んだのか?」