先生
「結唯。俺のことも忘れんなよ。」
お兄ちゃんは私をさすりながらお姉ちゃんに話しかけた。
「お前を一人で親父のとこに行かせたのは、俺も悪いと思ってる。
一人で心細かったよな。
お前は優しいから親父の気持ちがちゃんとわかったんだよな。
ほんと、ごめんな。
芽唯も言ったけど、家族は俺たち三人だけだ。
俺たちを離れ離れにさせた奴らのことなんて恨んでやろうぜ三人で!
てか、そっちでもう会ったか?二人に。
そっちでも、また一人にさせちゃったな。
俺らも行ってやりたいけど、さすがにそこは遠すぎる。
でも絶対に行くから、待ってろ。
そっちで三人がそろったらやり直そうな、三人の人生を。
頼りないお兄ちゃんでごめんな。
お前は本当に頼りになる妹だったよ。
また、天国で会おうな。
それまで元気でいろよ!
また芽唯と来るから。」
そう言ってお兄ちゃんは私を立たせた。
「歩けるか?」
「…うん。
お姉ちゃん、バイバイ。…またね。」
私は笑顔で言うことができた。
そして、しっかりと、誰の支えももらわずに、一人で駐車場まで歩いていった。
これで、ちゃんとお姉ちゃんにお別れを言えた。
四年前に言えなかったお別れ。
そして、またね。と言ってまた来る約束もできた。
お姉ちゃんは私の心で確かに生きている。