先生

…ん?

あれ、私寝ちゃってたんだ。

「あ、芽唯起きた?」

「咲。ごめん私寝てた。」

いつの間にか咲が帰ってきてた。

「お疲れだね。記録ノート私出してきたよ!」

「あ、忘れてた。ごめんありがと。」

「春山先生私が来て残念そうだった。」

咲はそう冗談っぽく言った。

でも、私も先生に会えなくて残念がってる…。

「あのね、咲。」

「ん?」

「明日の夜、斗真と会うことになった。」

「えっ?」

咲は驚いた顔をした。

そりゃそうだよね。

「…そっか。」

それでも理解したのか、そう言ってくれた。

きっと、咲すごい心配してくれてるんだろうな。

なのに私、咲に本心はなにも言えてない。

でも言ったらもっと先生のこと好きになっちゃいそうで怖い。

この気持ちは私の胸に秘めるしかないんだ。


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