先生

『ごめんな芽唯、変なこと言って』

久しぶりに芽唯って呼ばれた。

名前を呼ばれただけで心臓がトクンっと動いた。

ダメなのに。

先生に反応してちゃダメなのに。

なのに、いちいち先生にドキドキしてる。

私、何がしたいんだろ。

「芽唯!」

向こうから斗真が走ってやってきた。

私たちは外の広場で待ち合わせしていた。

「遅くなってごめんね。」

「ううん、全然いいよ。」

よかったぁ。と斗真は安心した顔で言った。

そして、斗真は私が座っていたベンチの隣に座った。

「今から何するの?」

二人の思い出作りたいって言われたけど何をするかは聞いてなかった。

「このままでいいよ。」

「え?」

斗真は優しい笑顔で私の方を向いて言った。

「こうやって、隣に芽唯がいて、他愛もない話をするだけで十分だよ。
それだけでも、思い出になるでしょ?」

この時、私はやっと気付いた。

斗真は、本当に私のことを想ってくれていて、大事にしてくれてる。

わかってたことだけど、斗真の気持ちの大きさに、本気さにやっと気づくことができた。

もうこれ以上、斗真を振り回せるのは嫌だ。

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