先生

「バカ…バカだよ、斗真……」

私は堪えていた涙が溢れてきた。

そんな私を斗真が抱きしめた。

「いいんだよ、俺はバカで。」

本当にバカだよ。

こんな私なんかのために。

「バカ………」

結局、斗真はこれからも偽彼氏のまま。

また嘘の生活が始まる。

斗真を利用してしまう生活が始まる。

でもこの生活の終わりが徐々に見えてきていたことは、この頃は誰も知りもしなかった。

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