先生

「ちょっとしみるからなー。」

そう言って先生は消毒しようとした。

「ストップ!」

私は思わずそう言ってた。

「ん?どうした?あ、心の準備がまだ?吉岡子供だなぁ。少しくらい我慢しろよ~。」

好き勝手言ってくれますね。

「私、自分でできます。」

「いいから。人のご厚意に甘えなさい。」

珍しく先生口調で言うから何も言えなくなってしまった。

大人しくなった私を見て先生はまた消毒をしようとした。

今度は静かにしている私。

消毒液が傷口にかかる。

痛いっ

「しみる?」

優しい声で、優しい表情で、私を見て言った。

先生の顔がすぐ近くにある。

先生って、こんなにきれいな顔してたんだ。

いつもと違う雰囲気の先生にずるいと思いながらもドキドキしている自分がいた。

< 58 / 436 >

この作品をシェア

pagetop