好きのおもさ

「なになに? れおと、また睨まれてんの~?」


今来たであろう数人の女子も、隣のヤツに声をかけている.


本当に人気のある人だ.


「ああ. 一瞬だけ.


やっぱりおもしれぇな」



またこの展開.


この前と同じように、私のことについて言われるとなると嫌になる.


ついつい持っていたシャープペンを机に置き、両手で両耳を軽く塞いだ.



「どうしたの、加奈ちゃん.

耳を塞いで...」


さっき宇川くんに話しかけた声とは違う声がする.



「俺が言った言葉に、そんなに傷ついたのか?」


・・・ダメだ、耳を塞いでも声は聞こえる.


私はそう思い、手を耳から放した.



「おまえさ、喋れるんだから何か言えよ」


なぜか挑戦的に言う宇川くん.




< 25 / 471 >

この作品をシェア

pagetop