好きのおもさ
「なになに? れおと、また睨まれてんの~?」
今来たであろう数人の女子も、隣のヤツに声をかけている.
本当に人気のある人だ.
「ああ. 一瞬だけ.
やっぱりおもしれぇな」
またこの展開.
この前と同じように、私のことについて言われるとなると嫌になる.
ついつい持っていたシャープペンを机に置き、両手で両耳を軽く塞いだ.
「どうしたの、加奈ちゃん.
耳を塞いで...」
さっき宇川くんに話しかけた声とは違う声がする.
「俺が言った言葉に、そんなに傷ついたのか?」
・・・ダメだ、耳を塞いでも声は聞こえる.
私はそう思い、手を耳から放した.
「おまえさ、喋れるんだから何か言えよ」
なぜか挑戦的に言う宇川くん.