好きのおもさ
根拠のない噂に惑わされて、行動できない。
必死で周りの人に今の自分の心境を悟られないように動いていく。
幸い、私に話しかけてくる人は皆無だった。
<放課後>
午後の授業、あんまり耳に入らなかったな。
どうすればいいんだろう。
もし私が推測している事実が本当であれば。
もう精神状態がやばくなるに決まってる。
教室を出る。
「待ってー、立山」
ゲタ箱に向かっていると、後ろから宇川くんの声がした。
足を止めたが、振り返られなかった。
ただただ下を向いているだけだった。
「いいよなー、お前。
敦史と同じバイト先で。
俺も同じ所で働こうかなー」
お気楽なことを言っている宇川君。
そんな彼に私は羨望の眼差しを向けたくなる。