好きのおもさ
宇川くんは私を勇気づける言葉をかけてくれた。
それが嬉しくて…でも素直に感謝の気持ちを表せなくて…
つい隣にいた宇川くんの背中を叩いた。
「いてっ!何で俺、叩かれなきゃいけないんだよ!?」
こんなことを言っているが、内心嬉しそうだ。
「じゃあ俺、そろそろ帰るな」
そう言う宇川くんは、腰を上げる。
「え?」
思わず出た私の声。
「なんだよ。そんな物寂しい顔して。
まだここにいて欲しいのか?」
そんなこと言われると、宇川くんに向けていた顔を逸らしてしまう。
物寂しい顔って…私はそんな顔してないよ。
「冗談冗談。
俺も家に帰って文化祭に備えなくっちゃ」
カバンを肩にかけると、宇川くんは玄関に向かって歩き出す。
「文化祭…何するの?」
やっぱり気になる。
宇川くんがあんなに文化祭を強調してくるんだから。