好きのおもさ

宇川くんは私を勇気づける言葉をかけてくれた。


それが嬉しくて…でも素直に感謝の気持ちを表せなくて…


つい隣にいた宇川くんの背中を叩いた。



「いてっ!何で俺、叩かれなきゃいけないんだよ!?」


こんなことを言っているが、内心嬉しそうだ。



「じゃあ俺、そろそろ帰るな」


そう言う宇川くんは、腰を上げる。


「え?」


思わず出た私の声。



「なんだよ。そんな物寂しい顔して。


まだここにいて欲しいのか?」



そんなこと言われると、宇川くんに向けていた顔を逸らしてしまう。



物寂しい顔って…私はそんな顔してないよ。



「冗談冗談。


俺も家に帰って文化祭に備えなくっちゃ」


カバンを肩にかけると、宇川くんは玄関に向かって歩き出す。


「文化祭…何するの?」



やっぱり気になる。



宇川くんがあんなに文化祭を強調してくるんだから。



< 371 / 471 >

この作品をシェア

pagetop