好きのおもさ
冗談とは思ってない。
ただここまで来ても、まだ目の前のことを受け入れたくないのだ。
そんな男を攻撃しようとする。
「フフッ…」
怪しげな笑いをこぼしたかと思うと、男は立山の肘に刃を動かした。
浮き出る血液。
それを見て俺は男に近づくのをやめた。
「そこで止まるのか、面白くないな」
そう言われた時だった。
無数の足音が聞こえる。
そちらの方に耳を傾けてみた。
すると次々にクラスメートがこの場に駆けつけてくれた。
その途端、俺は嬉しくなった。
「チッ。 面倒なことになりやがった」
意識不明になっている立山を、男は無理矢理彼女の姿勢を良くしようとする。
立山、お願いだから目を覚ましてくれ…。
「これだけ人がいるんだ。
もうてめぇには逃げ場はない」
俺は確信したため、自信を持って言ってやった。