(短編)君に微熱
水野 瞳
(瞳side)
駅から大学までの緩やかな坂道を歩きながら、私はふと、昔のことを考えていた。
それは中学生くらいのときだったか、クラスメイトの女の子に、雅と和泉、どっちが好きなのかと問い詰められたことがある。
その頃は、あまり二人を意識することもなかったけれど、少女漫画が好きなその女の子曰く、幼馴染みとの恋愛は定番中の定番らしい。
男の幼馴染みと常に行動を共にしていて、なんで恋愛に発展しないのかと言うその子の言葉は、今でも時折思い出す。
それから、約5年。
発展があったといえば、あったのかもしれない。
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