(短編)君に微熱




「ごめんね、大変なときに」



机の上の課題の山を見て、彼女は呟いた。



「だいじょうぶだよ、調度行き詰まってたとこだし」



こたつに入って背中を丸める彼女を横目に、キッチンで温かいお茶を入れる。

湯気を上げるカップを瞳の前に置くと、彼女は、ありがとう、と微笑んだ。



「さむかったでしょ、外」


「うん、」


「ふふ、ほっぺ赤いよ、瞳」



お茶を啜る彼女の頬を軽くつねると、更に顔が赤くなった。

俺の手、冷たかったかな。



彼女は赤いままの顔で、俺から目を反らし、口を開いた。



「和泉、何で彼女いるって嘘ついたの?」





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