(短編)君に微熱
一瞬、間があいて、そして
「え!?」
涙で真っ赤になった目が、俺の目を見た。
あ、ようやく目、合った。
気持ちを口に出せてすっきりしたのは、ずっと心のどこかでこういう思いを持っていたからに他ならない。
「ふ、やっとこっち見た」
「・・・だ、だって、好きとか、いうから」
「・・・本気だよ?俺」
「分かる、けど・・・和泉は、簡単に触ったり、顔近づけてきたりするから、そういうの、本気にしていいのか、分からなくて」
だめだ、こんな顔で、こんなこと言われたら。
ぎゅ、
「え!?ちょ、和泉、なんで抱き締めて」
「瞳は、俺が誰にでもこんなことすると思うの?」
俺の胸で、小さく息をする彼女が、今はもう、愛しくて仕方ない。
彼女の耳に、唇を寄せて
「好きだから、触れたいと思うんだよ」
そう囁けば、彼女は形の良い、きれいな耳を真っ赤に染める。
ああ、そっか・・・
そういうことか、
ふふ、
じゃあ、
いつから俺たちは、両想いだったんだろ。