(短編)君に微熱
唇が離れ、一呼吸置くと、
「くち、開けて?」
と、和泉が吐息混じりにいう。
あれ?
和泉ってこんなに、色っぽかったっけ。
なんて考えてる暇もなく、今度はさっきより深いキスが降ってくる。
身体中が熱くて、とろけてしまいそうだ。
「ん・・・」
時折、お互いの吐息が重なり合って、恥ずかしいけど、甘いきもちになる。
短いリップ音でキスが途切れ、いつの間にか閉じていた目を開けると、目の前で和泉が笑っていた。
あれ?
和泉ってこんなに、綺麗な顔してたっけ?
「俺、目閉じるの、忘れてた」
「え?」
「キスしてるときの瞳、すごくかわいかったよ」
「・・・・ばか」
顔が熱い。
もうやだ。
私いま、絶対顔真っ赤だよ。
恥ずかしい。
両手で顔を被うと、「なんで隠すの」と言って、彼は意図も簡単に私の手を退かす。
そして、眼鏡なしの顔のまま、言うんだ。
「もう一回、キスしてもいい?」
って。