(短編)君に微熱
その後
(瞳side)
「瞳、おはよ」
「わっ!」
「はは、また何か考え事?」
「うん、ちょっとね」
いつもの坂道で、長身眼鏡の和泉くんが私の手を取った。
私たちは付き合い始めたばかりで、私はまだ、彼のこういう、不意打ちの行動に慣れない。
「手、つめたいね」
「心が暖かいんだよ」
「うん、しってる」
冗談のつもりで言ったのに、真面目に肯定されてしまうと恥ずかしい。
「いずみー」
また、和泉の名前を呼ぶ声。
どうせ、雅なんだろう。
顔を見なくても分かる。