【短編】告白~難病少女と無愛想少年~
……何故だ。俺なんかに笑う奴はいなかった。
声をかけてくれる奴も。
言われる言葉は、いつも決まって「死ね」
母さんだけはそんな俺の味方でいてくれた。
「良かったあ。あ、私橋本愛未っていうの。あなたは?」
「俺は橋本晴太。……同じ苗字だな」
今まで、一度も言葉なんか交わさなかった俺たち。
なのに、今こうして話をしている。
しかも、苗字が同じ。親近感がわくのは何故だ?
「私……あなたが羨ましいな。私は、あと1ヶ月しか……」
生きられないから。
そう呟いた愛未の声は、弱々しくて、掠れていた。
その瞳は、何故か強く前を見据えている。