恋愛ポイントカード
なんなの、この人。

今から入学式だっていうのに…




今も男の手は私の手首をがっちりと掴んだままだ。




男がようやく足をとめると、そこには白いヒゲをはやし、緑色の着物のようなものを着た年老いた男がいた。




「連れてきました」




「あぁ、ありがとう」




老人はひどくかすれた声で返事をした。




「佐々木美桜さんだね?」




「そ、そうですけど…」




年老いた男はそう聞いてきた。




なんでこの人は私の名前を知っているんだろう?




「会えてよかった。」




「は、はぁー?」




私はこんな人にあったこともないし見たこともない。




そんなことより入学式!




「あの…すいません、入学式に行ってもいいですか?」








< 9 / 48 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop