Heat haze〜陽炎〜
どうしてこんな行動をしたのかわからない


ただ
気が付いたら走っていた


人波に溺れそうになりながら

それでも
あの人の背中を追いかけた

幼い頃は差し出された手も今はない


だけど


私はその人の手をつかんだ

「モト兄!」


私の声に振り返ったモト兄目にかかる前髪
黒ブチのメガネ

でも
その奥の瞳にはしっかり私が写っていた


「りょ…う…―!?」

はっきり言ったんだ
私の名前を
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