Heat haze〜陽炎〜
鳴り響くベース

軽快なリズムを刻むドラム

全てに包まれたとき
会場のボルテージは最高潮になる


三曲歌った所でMCが入った
「こんばんはHeat hazeです。」

少し低い
落ち着いたでも熱い声でモト兄が話した


歓声が上がる


「ヒナターー!!」


黄色い歓声


胸がチクンとした


会場の女の子たちがモト兄に熱い視線を送っていた


私は
モト兄をただ見つめるだけ


だって
なんて呼べばいいかわからない…


ヒナタ


なんて言ったことないし


私はずっと一つの呼び方だけ…


「モト兄…。」


歓声に混ぜて言った


蚊の鳴くような声で
きっと聞こえないと思う


でも
目の前でスポットライトを浴びて輝く彼に


私は大きな声で呼ぶ事が出来なかった


だって
そこにいたのは
私の知ってるモト兄じゃなくて…


Heat hazeのヒナタ…
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