Heat haze〜陽炎〜
BBQをしているときも
先輩は私の怪我を気遣ってくれて


私は申し訳なさと恥ずかしさで肉の味もわからない



やっと
一息つけたのは
誰もが寝静まった深夜だった



誰もいない海岸を一人であるく

波の音が心地いい

月明かりに照らされて白く輝く砂浜に腰を下ろした


〜♪〜♪


携帯が鳴る
知らない番号


もしかして…


「もしもし?」


私の声に少し遅れて返事が帰ってきた

『りょう?』


声だけで分かる
電話をかけてきたのは
モト兄


「そうだよ。」


『俺だけどわかる?』

変な言い方だなぁ
思わず笑ってしまう


『え?どうした?』


電話越しに焦る声


「モト兄でしょ?
声でわかるよ。」


『そうか。
今大丈夫だったか?』


「うん、平気だよ。
周り結構うるさいね?」


受話器から聞こえる喧騒
時々モト兄の声が聞こえない
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