Heat haze〜陽炎〜
『ああ、ごめん。
今ツアーの打ち上げが終ったところなんだよ。』


「ツアー今日が最終日だったの?」



『そう。本当はもっと早く連絡すべきだったんだけど…時間がとれなくて。
悪いな。』


ツアー中もずっと私の事を考えていてくれたの?


申し訳なさそうなモト兄の声が私の胸を締め付けた


「大丈夫だよ。
ツアーお疲れ様でした。」

明るい声で言う


『うん。
ありがとう。』


冷めたはずの
あの日胸をにともった小さな炎が徐々に熱を持ち始める


『りょう、明後日の夜は時間ある?』



え?
明後日…
明後日はバイトもないし
大学も午後は休講だ


「え…と、午後から暇人です(笑)」



『クスッ
じゃ、明後日の2時にこの前話した表参道の場所で待ってな。
久しぶりにゆっくり話そう。』



「うん。楽しみにしてる。」


電話を切ってみんなの所に戻って眠りについた



夢の中でも
モト兄は私に絆創膏を貼っていた
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