Heat haze〜陽炎〜
「なんでも注文してね?
基良くんがココに人を連れてくるなんて初めて。
しかも、こんなに可愛い女の子。」


ウインクして言うその人は女の私から見ても憧れてしまう


「艶子さん、やめてくださいよ。」


恥ずかしそうに言うモト兄はなんだか可愛かった


一通り注文して
届いたお酒で乾杯する


「りょうも酒が飲める歳になったんだ…。
俺も年取ったなぁ。」


モト兄がグラスを傾けながら遠くを見て言う


「もう、私も大人だよ?
モト兄こそ、今の発言からしてオヤジ臭い(笑)」


「うっせ。
りょうは俺の中ではずっと泣き虫の3歳児だったのに…今じゃ、生意気に化粧なんかしてるし。」


少しムッとして
頬を膨らました


「もう、あの時の私じゃないもん!化粧だって普通にします。」


そっぽを向いた私をモト兄は笑う


「嘘だよ。
綺麗になったな、りょう。」


振り向くと優しく微笑むモト兄がいる


ドキンッ


心が
体が
私のすべてがモト兄に吸い込まれた



どうしよう



私…熱い



カァ…

頬が赤くなるのを感じて
お酒を飲み干した


「大丈夫なのか?」


心配そうに見るモト兄を無視して私はお酒を飲み






お店を出る頃には
べろんべろんに酔っぱらっていた



「しっかりしろ。
…りょう?」



モト兄の声が遠くで回ってる



足がフワフワしてる



私の意識は完全に飛んだ
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