Heat haze〜陽炎〜
「りょう…
お前の口からは言ってくれないのか?」


悲しげな顔をする先輩


どういうこと?


「俺が…何も知らないって思ってたの?」


「え…―?」


先輩は私から視線を外す
そして静かに話始めた


「りょうが高校の友達と会うって言ってた日。
本当に高校の友達と会っていたのか?」


「つっ…。」

まさか…


「俺見たんだよ。
お前が男と二人で楽しそうに歩いているところ…。」


見られていたんだ


あの日
先輩は私とモト兄を見ていた!


「驚いたよ。まさか、嘘つかれていたなんて…。
一気に嫉妬にも似た怒りが込み上げた。

二人の所に行って、どういうことなのか聞くこともできた…。

でも出来なかった!

今まで見たことのないくらい、柔らかで穏やかな表情のりょうを見て…

りょうに捨てられるのが怖くなって、俺は見て見ぬフリをした。」


先輩が拳を握りしめた
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