Heat haze〜陽炎〜
私が落ち着いたのを見計らってモト兄が口を開いた


「りょう…
俺はりょうに触れちゃいけないって思ってた。
りょうはもう他の男のモノで…俺はもう関係無いんだ…。そう思ってた。

だけど
りょうを見て、一緒に過ごして、抱き締められたとき…たとえ他の男の事を好きで、俺には掴め無いものでも、りょうと一緒にいたい。と心から思った。


遠回りして
曲なんか作ったりしたけど
もう、言ってもいい?」



私の顔を覗き込むモト兄


瞳を見つめる


「好きだ。」



モト兄の顔が涙で歪んでよく見えないよ…


目にかかった前髪から覗くその優しくて真剣な瞳に写る私は、きっと可愛い顔じゃない


目は腫れてて
鼻は赤くて
顔は浮腫んでる?


それでも
モト兄が強く私を抱き寄せたから

もうごちゃごちゃ考えるのは止めたんだ



「……りょう、返事は?」



モト兄がそっと私の頬に触れた


愛しさがそこから溢れ出す


「私も…好き。」


今本当の自分の気持ちに向き合う


自分に正直に
灯った炎を大きく掲げて


あなただけを見つめるよ
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