〜今、キミに伝えたい〜
ーーーーーーーーーーだから、“親友”とはいつしか喋らなくなっていた。

初めは遊んでいたけれど、クラスの子に誘われたり誘ったり、それがほとんどだった。

今思うと、クラスが離れるだけで喋らなくなるだなんて、友情なんて儚いもの。


こうして、“親友”とは喋らない日々が過ぎていった。



***

楓夏の小学校は、転校する人を月一の朝会で紹介する。

校長先生の長話がやっと終了し、『この学校からお別れする人、前に出てきて下さい』という、司会の先生の声が耳に入る。

その言葉に応じて、ポチポチと黒い頭が生徒の列から飛び出てきた。


疲れたから早く戻りたいなぁと心の中でぼやきつつ、前を見据える。

男子のほうが多く、女子は二人いた。

一人は五、六年生くらいの女子で、もう一人は見慣れた髪型のーーーーーーーーーー。


私の“親友”、井堂愛海だった。


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