Golden Apple
あたしの乗っていたエレベーターには乗らずに、後を着いてきたミカミ。新年早々ストーカーか。
「そうじゃないし、着いてくんな」
「僕もこちらに用を思い出しただけ。さあ、気にせずに」
気にするっての。
後をつかれるのは御免なので、隣を歩く。つか、本当にストーカーするつもりだ。
駅のフリー雑誌を手に取る。短期のバイトをざっと見て、なるべく近くの、歩いて行ける所を探す。
「…バイトがしたいんですか?」
「持ち金も底が見えてきたから」
「必要な物があれば、」
「それ、誰の金なの?」
雑誌から目を離す。