Golden Apple
まさか快く承諾するわけがない。どんなにミカミの前だとしても。
「何て言って脅したの?」
「クラギが居ないと成立しない策なので、僕も動けません、と。別に脅しじゃないですよ」
「立派な脅しだっつの」
「生理的に無理だとしても、我慢するのが礼儀だね」
そう笑うミカミの笑顔は冷たい。
礼儀なんてものが、あの甘ちゃんに通じるとは到底思わないけれど。そこは黙っておく。
味噌汁の鍋をおろしてフライパンを乗せる。
「何か手伝いますか?」
「結構。向こう行って座ってて」
ミカミは変な所で抜けている。
抜けてるって性格的な意味ではない。
日常生活においての知識が、抜けている。