Golden Apple
レナコの存在も奇跡だと思ってるけど。
まあ、あっちこっちふらふらする奴は碌でもないことが見て分かる。
少し振り向いて確認。
「確かに顔は良いけど」
「ああいうのが好みですか?」
「いや、人間は顔じゃないでしょ」
中身がそんなならまだタラシのトーガの方がマシだ。
それを思った自分に笑えた。
カウンターの方に向き直って、少しだけテーブル席を見る。見たことないかもしれない。
「用はこれだけ?」
「そうですね」
ミカミが立ち上がってチェックを入れる。あたしはもうタケウチの方を見なかった。