Golden Apple
車に戻ってふと考える。
「ミカミって免許持ってんの?」
「持ってますよ、二輪の」
「これ四輪だけど」
「二輪よりも安全ですね」
そういう問題?
いや、違う。
会話が着信音に断ち切られた。ミカミが珍しく携帯を嫌そうな顔をして見る。
誰だろうか。
「…ええ、はい」
低い声で返事。あたしはそれをじっと見て、首を傾げる。
ミカミの視線がこちらを向いた。
目が合う。
中に入っていた方が良いだろうか。扉を開いて、中に入ろうとした。
「了解しました」
一方的とも言い切れるような感じに電話を切ったミカミ。