Golden Apple
『水神』て書いてある。
…ミカミの家?
大きい門の隣の小さい扉みたいな所から出てきたその姿を捉えて、確信を持つ。
フロントガラス越しに合った視線。ミカミが少しほっとしたように微笑んだのは、気の所為か。
それから運転席についた。
「おはようございます」
「うん、ここミカミの家?」
「そうですね」
他人事である。
ふうん、とだけ返事をしてでかい家をもう一度見上げる。門からでかいし。
エンジンをかけてアクセルが踏み込まれる。
「家あったんだ。つか、もしかしてたまにマンションに居なかったのって」