Golden Apple
うん、と返事をするとキッシーは教室から出て行く。くその扉の近くにトーガがいる。
「…何?」
「おっはークラギちゃん。タチバナいる?」
「タチバナ…居ない」
いつも座っている席が空。朝から寝ているあたしには来ていたかとうか分からない。
トーガはそれを聞いて考える素振りを見せた。
「ちょっと来て」
後ろからチラチラと視線を感じる。
カーディガンをもう一枚着て廊下へ出た。冬の廊下はやはり寒い。
トーガの駱駝色のセーターがチャラい。
何処へ行くのか聞いてなかったと思いながらその背中を追う。