Golden Apple
他二人も居るけれど、色々面倒くさいので何も言わずに出て行こうとした。
「クラギ」
…はいはいお約束ね。
ミカミの声に立ち止まって肩越しに振り返ると、音もなくすぐ近くに来ていたことに驚く。お前の方が十分猫だと思う。
溜め息を吐く。
「顔を洗おうと思って」
「綺麗にグロスが乗ってますけど、落とすならお手伝いしますよ」
ガシッと頬を掴まれる。
何をする気なのか予想がついて、後退する。
リサからの視線が痛い。
本当に、ミカミって鈍いんだか鋭いんだか。
「戻る、戻るから」
「最初からそうして下さると嬉しいですね」