Golden Apple
胸を張って答えるリサ。
それに肩を竦める。
あちら側の入り口に立つ。
あたしはここまでしか行けない。
「うちって、大家族なんだよね。だからお兄ちゃんは負担を少なくするために家出たの」
「へえ、タチバナらしい」
「うん。だから、あたしも就職しようかなって」
頷く。それは宜しいことで。
ポケットに入れた指の先が冷たい。
「ま、世の中そんな甘くないけど」
あたしがそう言うとリサは唇を尖らせた。
「てか、何しにここまで来たの?」
「まあ、あたしのパパの妹だし。一応叔母にあたるし」
「は?」